五十肩の中でも「インナーマッスル(腱板)の弱り」が原因の場合、肩の挙がりにくさや鋭い痛みが長引きます。この記事では、腱板由来の五十肩の特徴、見極め方、悪化しやすい姿勢、セルフケア、整体での改善方法まで岐阜市の整体師が詳しく解説します。
「肩を上げるとズキッと痛む」「脱力すると肩が抜けそう」「最近、肩に力が入りにくい」
こういった五十肩の症状は、肩の深部にある インナーマッスル(腱板) の弱りが関係していることが多くあります。
痛みの場所や動きの引っかかり方が、癒着タイプの五十肩とも少し違うのが特徴です。
本記事では、専門的な内容をできるだけわかりやすく、患者さん目線でまとめました。
他の肩こりや炎症タイプでは説明されない“腱板タイプの五十肩”を詳しく解説します。
【H1】インナーマッスル(腱板)由来の五十肩とは?
五十肩にはいくつかのタイプがありますが、その中でも
「肩の奥で支えている筋肉が弱り、肩関節が不安定になって痛みが出るタイプ」
が存在します。
それが 腱板(けんばん)由来の五十肩 です。
肩の奥のインナーマッスルは、アウターマッスルと違い、
・姿勢
・疲労
・使い方の癖
の影響を強く受けます。
動かすたびに肩がズレそうになるため、肩の前後に鋭い痛みが出たり、一定角度で上がらなくなったりします。
【H2】腱板とは?なぜ弱ると五十肩になるのか
腱板は以下の4つの筋肉からできています。
- 棘上筋(きょくじょうきん)
- 棘下筋(きょっかきん)
- 小円筋(しょうえんきん)
- 肩甲下筋(けんこうかきん)
これらは肩甲骨と腕の骨をつないでおり、肩の軌道を正しく保つ“軸”の役割があります。
【H3】腱板が弱ると起こること
- 肩がズレやすくなる
- 力を入れようとした瞬間に鋭い痛みが出る
- 肩が上がる途中で引っかかる
- 肩前面〜二の腕にかけて痛みが走る
筋肉痛のような表面的な痛みではなく、
肩の奥・関節内の深い痛み
が出るのも特徴です。
【H2】腱板由来の五十肩が起こる原因|当てはまる人は要注意
腱板タイプの五十肩は、生活習慣により少しずつ進行していきます。
【H3】① 姿勢の崩れ(猫背・巻き肩)
肩が前に巻く姿勢は、腱板の筋力を弱らせる最大の原因です。
理由:
肩が前に出る → 腱板が引き伸ばされた状態で使われる → 摩耗し弱る
特に
- デスクワーク
- 長時間スマホ
- 背中を丸めて座る癖
がある人に多いです。
【H3】② 加齢による筋力低下
40〜50代以降になると、
アウターマッスルより先に“インナーマッスルから”弱り始めます。
その結果、肩の安定性が低下し、日常生活の中で小さな炎症を繰り返して五十肩へつながります。
【H3】③ 運動不足
腱板は普段の生活だけでは十分に使われません。
運動不足が続くと、弱ったままの状態で放置され、肩関節のズレが起こりやすくなります。
【H3】④ 片側ばかりを使う習慣
- 荷物をいつも同じ側で持つ
- 子どもを抱く方が決まっている
- 仕事で片腕に負担が偏る
などは腱板のアンバランスを招きます。
【H3】⑤ 無意識の力み
ストレスが強かったり、肩に力を入れて仕事をしていたりすると、
アウターマッスルが過緊張 → インナーマッスルが働きにくい
という状態になります。
【H2】腱板由来の五十肩の特徴|他タイプとの違い
以下の症状があれば、腱板タイプの可能性が高いです。
- 腕を上げるとき、途中で“鋭い”痛みが出る
- 肩が抜けそうな不安感がある
- 肩前面〜二の腕の外側まで痛い
- 力が入りにくい
- 後ろに手が回らない(女性に多い)
- 痛い側を下にして寝られない
“ズキッと刺すような痛み”は腱板の特徴です。
【H2】腱板由来の五十肩は整体でどう改善する?
腱板が弱っている場合、
強いマッサージや伸ばすだけのストレッチでは改善しません。
むしろ痛みを悪化させることもあります。
以下は、患者が安全かつ効果を感じやすいアプローチです。
【H3】① 肩甲骨の軌道を正しく整える
腱板が働きやすい位置に肩甲骨を戻すことで、肩の動きがスムーズになります。
- 胸の開き
- 肩甲骨の内外転
- 肋骨の歪み
などを整えることで“肩の軌道”が正常に戻ります。
【H3】② 深部の過緊張を取る
腱板の上にあるアウターマッスル(僧帽筋・三角筋)が固いと、腱板が働けません。
まず外側の筋肉をゆるめ、深部に負担がかからない状態を作ります。
【H3】③ 腱板が働く「角度」を見つけて動かす
腱板は角度によって働きやすさが変わります。
整体では、その人の身体に合った“痛みの出ない軌道”を探し、そこで軽い誘導を行います。
無理に伸ばすのではなく、
肩が正しい位置に戻るように誘導する
のがポイント。
【H3】④ 胸郭の柔軟性を回復させる
腱板だけにアプローチしても改善しません。
土台である胸郭が固いと、腱板に負担がかかり続けます。
胸椎・肋骨・横隔膜を整えることで肩全体の動きが楽になります。
【H2】自宅でできる腱板タイプ向けセルフケア
腱板は強い負荷に弱いため、安全で、かつ効果が出るものを3つだけ紹介します。
【H3】① 脱力肩回し(ゆっくり・小さい動き)
- 肩の力を抜く
- 小さめの円を描くように回す
- 痛みの出ない範囲で20秒
“脱力”が最重要。力むと逆効果です。
【H3】② 壁手当てリリース
- 壁に手のひらを軽く添える
- 体を前後に1〜2cmだけ揺らす
- 肩の奥がゆるむ感覚を意識
腱板が働きやすい位置に整います。
【H3】③ タオル保持の外旋運動
- 脇にタオルを挟む
- 手のひらをお腹の前に
- ゆっくり外へ5cm開き10回
負荷は最小限でOK。大きく動かす必要なし。
【H2】まとめ|腱板由来の五十肩は“肩の奥の筋肉”を整えることが必要
腱板タイプの五十肩は、
・鋭い痛み
・可動域制限
・肩の不安定さ
が特徴です。
肩を揉むだけでも、ストレッチをするだけでも改善しづらいため、
肩の軌道・姿勢・胸郭・腱板の働きをセットで整える必要があります。
長引く五十肩や、肩の奥の痛みが続く場合は腱板由来の可能性がありますので、早めに適切なケアを受けてください。